2006/04/26

千葉7区補選に見る選挙マーケティング

千葉7区補選、超エリート斎藤健氏、元キャバ嬢に敗れる。

斎藤健氏とは私も以前お話したことがあり、すごい人っているもんだー、とビビった記憶がある。ただのエリート官僚ではない。

その片鱗は、公式サイトの大下英治作の半生記に伺える。

http://www.saito-ken.jp/story_01.htm

大戦までの軍官僚の失敗を分析した本 
「転落の歴史に何を見るかー奉天会戦からノモンハン事件へ」
の書評も、大絶賛されているし。


だけど、知らない人にとって、「また中央が送り込んできた官僚」 と受け止められるのが自然。このイメージでは、有権者が望むであろう政治家像、たとえば、「私の悩みを理解してくれる、普通よりちょっと凄い人」 とかと、重ならない。

いわば、消費者ニーズと、消費者がイメージする商品ベネフィットとが、一致していない。

このギャップを空中戦で埋めることができない場合、接近戦で勝負するのが、マーケティングのセオリー。ビジネスなら営業マンの出番となる。

では選挙では? 

「握手」という強力な営業手法があるのですね。

小泉が駅前で演説する。ここで「さいーとー、けーんでーす! みなさんのために、は、た、ら、き、まーす!」 と絶叫する。これをライブで体験した3万人が、見込み顧客層(=リード)になる。この時点で、、「この人、超エリートっていうけど、意外と私の悩みを理解してくれるのかも?」 と、身近に思う。この3万人の中で、より興味の高い人は、握手の列に思わず並んでしまう。触る、という体験をした3000人は、「この人は私の悩みを理解してくれる人に違いないわ!」と、最高レベルの関心を獲得できる。

いわば、一回だけ、ライブが足りなかった。

人間は理屈では動かないが、自分が体験を通じて納得したときには、動く。このことは、アミューズメント業界相手の商売をしてると、実感する。『体験』 『口コミ』 という古典的なマーケティング手法が最近あらためて注目されているけど、選挙もまた、マーケティングであることを実感する出来事だった。

斎藤氏は、政党がどこであれ、国政で活躍してほしい気がする。今後に注目したいと思う。

2006/04/23

若い中小企業は、人が辞め過ぎる

昨日、丸の内タリーズ会議室で数名の知人とちょっとマジメに話し合い。
私が「よく知ってる某ベンチャー」、知人の商社とで、共通の話題がでる。

「某ベンチャー」では、1年前の社員名簿が、ごーっそりと入れ替わっている・・・ 
その商社も、入っては消えていくそうだ。若い中小企業は、人が辞め過ぎる。

なんでそうなる?
「社長の個人企業なんだよねー」ということで一致する。

個人企業というのは、『社長のやり方』 しかノウハウがない。起業してそこそこ成功する人だから、最高レベルのスキルがあってこそ、のやり方なわけだ。一方で、それくらいの会社には、たいした人は入って来ない。(チカラを試したいとか、経験値つみたいとか、不純だよねー。誰だ?)  このギャップに対応しなければならないのだけど、社長には強烈な成功体験があるから、どうしても同じレベルを期待してしまうのだろう。

「こうゆときにはこうするんだ!」
「なんでできない!」

と、ハイレベルなやり方を、凡人に押し付けてしまう。
結局、社長の手を借りてなんとか仕事はこなすが、所詮自分の手柄ではないし、社長への負い目も出来る。せいぜい努力と根性でしか、その借金を返せない。しかし、そんなのは長く続かない。

そんな生生しい分析で盛り上がる。
経験、とりわけ成功体験は、時に目を曇らせる。
じゃあ、どうすればいいの?

『凡人でもできるような新しい仕事のやり方』 をつくるのが、基本なのだと思う。 社長のやっている仕事を分解して、その1つ1つを社員なり、外部業者なり、パンフレットなり・・・に分担させるわけだ。

そして、能力が足りないの前提で、仕事を任せる。
たぶん、仕事の半分くらいは、『新しいやり方』のマニュアル通りやればできる。残りは自分で乗り越えないといけないカベなのだけど、方法は教えない。「どうすればいいと思う?」 という『コーチング』の手法で、考えさせる。 

それでダメなのも想定して、見込み客を多めに用意しておけばよい。
シンプルな確率論だ。

いわば鎌倉武士の一騎打ちから、モンゴル軍の集団戦のような、転換が必要になる。
先に紹介した船井総研イソズミ氏「売上2億円の会社を10億円にする方法」 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478321167/masujirodiary-22?creative=1615&camp=243&adid=0JJMARY3T2DJ6S85P8X2&link_code=as1
では、「採用できる社員の能力は、社長の30%だ」と言う。
30%を前提に組み立てる、というルールを1つ作れば、一貫したビジネスモデルを作ることができる。さすがに凄腕のコンサルタント、シンプルだけど有効範囲の広いルール作りが上手い。

ベンチャーの人の問題については、もうひとつ、マーケティングという解決策がある。
この点は、あとで。

2006/04/12

10億円企業を育てるということ。

益次郎のベンチャー転職を投資とリターンの関係で表現すれば、『ビジネススクールに自費で通う』 感じ。カネを払って経験を買う。その中で、これから収益を産み続ける 『資産』 を獲得できるはずだ。いまどき投資効果の高い資産って、ほかに思い浮かばない。

って、どんな経験を買うの?
ジャストフィットに説明してる本を紹介しよう!

(クリックするとアマゾンに飛ぶので買いましょう)

中小企業支援を得意とする船井総研のスターコンサルタントのノウハウを、部分的に公開したと思われる本です。(船井総研というコンサルティング会社の経営戦略は、さすがにコンサル、ド健康な医者みたいなもんで、学ぶべきものが豊富。が、長くなるので、またいずれ。。)

1年前の自分がこの本を読んだとして、ちょっと頭の中の知識が増えるだけだったと思う。でも今の自分にとって、行間に見えるイメージの量がものすごく多い。たとえばこれが『1?2年、ビジネススクールに自費で通う』という中身なのだ。

この本の中身、僕の経験とあわせて、これから少しづつ語っていきましょう。

『パペットマメット』におけるブランド多面展開仮説

(タイトルにやりすぎ感が・・・)

僕の帰宅は最近22:00ごろが多くて、家につくとラジオをつけることが多い。テレビはしつこいので嫌い。

で今月スタートのJ-Waveの新人ナビゲータ、妙に気になる。。
シニカルでドライなユーモアと、ムーディでウェットな声の微妙なミスマッチ。
金剛地武志。

http://www.j-wave.co.jp/contents/navigator/kongouchi.htm

どっからこんな新人探してきたんだ?Yahooで検索。

『関連検索ワード』 に表示されるは
パペットマペット 金剛地武志

は?

調査続行。

こ、これが・・・

幾つかの情報を多面的に分析した結果、最も合理的と思われる仮説は、

『ある才能あるB級(扱い)タレントがお笑い市場に進出するにあたり、別ブランドを立ち上げて展開した』

といことである。いわば北米市場におけるトヨタとレクサスの関係と同様といえよう。

2006/04/06

『経営者の孤独を解消する』というニーズ

少し知ってるフリージャーナリストのブログからhttp://app.blog.livedoor.jp/yumikoyokota/tb.cgi/50607061

ベンチャー企業の女性経営者の間で、占いや霊視が広まっているという。"お抱え占師"に経営の先行きだけでなく、人事異動や男性のことなども相談し、公私ともにどっぷりとハマっている。冷徹な経営判断をしなければならないトップがのめりこむ理由とは?

オーナー経営者にとって、相談、ということの価値が高いのは、実感できる。
ウチのトップは男だけど、プロの「コーチ」と契約して定期的に相談している。

「コーチ」(Coach)はスポーツでは一般的だけど、語源は「馬車」で、「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味。そこから、本人に方法を教えるのではなく、自身の「気づき」を重視し、もともと持っている潜在能力を十分に発揮させる、という人材育成手法を、『コーチング』といい、経営の世界で最近はやっています。

具体的には、相談者が気になっていることを相談すると、質問の答えはいわずに、「何が問題だと思う?」「なぜそう思う?」とかシンプルな質問を繰り返すことで、自分で答えを探させる、という方法を取る。

育成、は通常「トレーニング」だけど、Train(電車)は線路の上を走るだけ、Coach(馬車)は道を自由に移動する、という喩えで、違いがイメージできる?


彼の場合、知識があるから相談相手には、方法論を体系的に勉強したコーチを選ぶ。
でも、同じようなスキルを身に付けた占い師に偶然あたってしまう経営者だっているわけだ。
<参考:占い師のスキル> 

共通しているのは、他人にわざわざ高い金を払って相談する、というニーズがある、ということ。
『相手が今、お金を払ってでも欲しいもの』は、『その相手の金銭感覚の範囲内の値段』で、いくらでも売れる。そして、一人上客を納得させれば、口コミだけでもそこそこ売上は伸ばせる。占い師、という不思議な存在も、こう考えれば、ビジネスのセオリーにそって理解できる。



2006/04/05

石田純一の戦略性

日経BPに石田純一インタビュー。http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/person/proposer/060330_ishida1/

もう52なんだ!

50代有名人には、ジャッキーチェンが52。矢沢栄吉が56。彼らも若いけど、子供のころからずーっとスターだった人たちだから、『年相応に若い50代』でもある。石田純一が意外なのは、ちょうど僕が大学のころブレイクしていた同時代感があるからだろう。

そう、彼は遅咲きの苦労人なのだ。

だから、その軽さもただの軽さじゃなく、戦略的に軽い。

ブレイク当時、自費でイタリアに行き最新の高級ブランドを大量に買い付けて着ていたらしい。こんなこと、普通のスタイリストのついた並の俳優には真似できない。いわば 『トレンディ』 というポジションを確立するために、『成長期には大量投資』 という経営セオリーに忠実に行動している。


そして、ピークを過ぎてからのしたたさ。
記事から引用すると:

たとえば島田紳助さんとしては、芸人にはツっこめるけど、多少顔や名前がある俳優にはなかなかツっこみにくかった。そういうなかで、遠慮なくツっこめる役がほしかったわけです。それを僕に求めていた。となると、“演じる”というのはオーバーでも、その役割をこなすということは、番組の中では至上命題。これは裏切ってはいけないんです。けれど、そのなかにちょっとした味つけをして返してみたり、自分らしさを出して役割の幅を広げていくということも忘れたくな
い。でも、それはサラリーマン社会のなかでも言えることでしょう?


(ま、今のバラエティって全部こうなんだけど。。)

この点、メルマガ『弱者逆転の法則』の過去記事に解説が:

http://www.sengoku-blog.biz/mt-cgi/archives/2004/02/20040210.html

さらに、ハセガワリエ版:

http://www.sengoku-blog.biz/mt-cgi/archives/2004/02/20040218.html


そして、益次郎は最後に重要な差別化ポイントを確認した。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/person/proposer/060330_ishida1/index5.html

石田純一は今日も裸足に革靴。



2006/04/02

コンサルティング事業をどう伸ばすか?

リスクも大きいベンチャー転職。
自分の成果として残せるかもしれないもの、その中で得られるものは、よおく考えないと。
そのカギは、看板のコンサルティング事業をどう伸ばすか? にかかるだろう。

この会社が特化するアミューズメント業界は、一見サービス業のようで、実態は資本集約型の設備産業に近い。良い立地を確保し、金をかけて最新のインフラを投入すれば、大儲けはほぼ約束される、とわれている。


そんな業界で、ヒトと組織を良くしましょう、という、新しいコンセプトを浸透させないといけない。

そのために、僕のいたIT会社の手法が使えると考えた。
前の会社は、日本企業が使い慣れたITシステムを否定する新しいタイプの商品を、時に現場の抵抗勢力をなぎ倒して、日本進出から数年間で売りまくっている。そのマーケティング手法は、一般に、こんなふうに分析されているようだ。

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A) 危機感をあおる。

  • 「海外優良企業はみんな使ってます!これがIT革命です!このままでは時代に遅れます!」 というあおり、いや、いや、「啓蒙」メッセージを、コンサルティング会社と共同で広める。
  • バブル崩壊後の氷河期真っ只中、自信をなくした大企業が 『グローバルスタンダード』 『IT革命』 にすがりついていた当時。経営トップの最大のお悩み 「俺の手で何とかしてやる!」 に刺さり、バカ受け。

B) 経営トップを押さえる。

  • 「どんな名経営者でも、データをみえるようにしておかないと、ビジネス環境の激変には対応できません!」という経営視点でのアピール。
  • 大企業トップの変革意識はおしなべて高いはず。ただし、変革のためのスキル・ツールを持っているとは限らないので、改革は進まない。ITの場合、従来システムには、「トップの欲しい経営データが揃わない」という弱点が実際にあったので、そこに『変革のツール』を売り込むチャンスがある。
  • 上記Aのアオリだけでは、関心は持っても意思決定まではしない。そこで、Bが意思決定者への決定打になる仕組み。
  • また、導入の現場では混乱は多々あったようだが(2ちゃんでも叩かれまくってたなー・・・今は激減してちょっと寂しい) 意思決定者を味方である限り、揺るがない。

C) 味方を作る。

  • まず、IT 業界がこぞって味方になる。
  • ・・・ ITだけでは差別化しにくいので、価格競争に陥る。コストに少しだけ利益を上乗せできるだけ。ITシステム部門が相手では予算も限られる。しかし、経営という付加価値は 『私が絶対に欲しい一品モノ』 になって差別化ができる。すると価格はコストと無関係に 『意思決定者の決済可能額』 にシフトできる。大企業トップが相手なので、価格はハネ上がるわけだ。
  • ふつうの顧客にとって流行のシステムの導入は、出世のチャンスになるので、「社内営業マン」として動いてくれたりする。
  • さらに、自社グループでの導入で経験をつんだ後、外販に乗り出すケースも多い。コスト要因のシステム部門が新規事業に変身しましょう、という提案は不況下にそりゃウケる。
  • 業界誌も大々的に取り上げ、1つの流れができる (大量広告出稿も)

D) 業界リーダー企業へ集中した営業活動。

  • 各業界ごとに上位リストを用意し、最重要の営業ターゲットとして、集中営業をかける。
  • 業界内の競合でも、IT部門は担当者間で情報交換していたりする。上位を取れば、芋づる式に下位に拡大する。特に上位ほどリスクある冒険がしやすい。
  • こうして優良先行事例を作ることは、新タイプの商品の展開のために非常に重要

などなど(悪徳商人風)

どなどな

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で、問題は、これら手法をどう応用すれば経営コンサルが売れる仕組みができるか?

この続きはまた後で。