千葉7区補選に見る選挙マーケティング
千葉7区補選、超エリート斎藤健氏、元キャバ嬢に敗れる。
斎藤健氏とは私も以前お話したことがあり、すごい人っているもんだー、とビビった記憶がある。ただのエリート官僚ではない。
その片鱗は、公式サイトの大下英治作の半生記に伺える。
http://www.saito-ken.jp/story_01.htm
大戦までの軍官僚の失敗を分析した本
「転落の歴史に何を見るかー奉天会戦からノモンハン事件へ」
の書評も、大絶賛されているし。
だけど、知らない人にとって、「また中央が送り込んできた官僚」 と受け止められるのが自然。このイメージでは、有権者が望むであろう政治家像、たとえば、「私の悩みを理解してくれる、普通よりちょっと凄い人」 とかと、重ならない。
いわば、消費者ニーズと、消費者がイメージする商品ベネフィットとが、一致していない。
このギャップを空中戦で埋めることができない場合、接近戦で勝負するのが、マーケティングのセオリー。ビジネスなら営業マンの出番となる。
では選挙では?
「握手」という強力な営業手法があるのですね。
小泉が駅前で演説する。ここで「さいーとー、けーんでーす! みなさんのために、は、た、ら、き、まーす!」 と絶叫する。これをライブで体験した3万人が、見込み顧客層(=リード)になる。この時点で、、「この人、超エリートっていうけど、意外と私の悩みを理解してくれるのかも?」 と、身近に思う。この3万人の中で、より興味の高い人は、握手の列に思わず並んでしまう。触る、という体験をした3000人は、「この人は私の悩みを理解してくれる人に違いないわ!」と、最高レベルの関心を獲得できる。
いわば、一回だけ、ライブが足りなかった。
人間は理屈では動かないが、自分が体験を通じて納得したときには、動く。このことは、アミューズメント業界相手の商売をしてると、実感する。『体験』 『口コミ』 という古典的なマーケティング手法が最近あらためて注目されているけど、選挙もまた、マーケティングであることを実感する出来事だった。
斎藤氏は、政党がどこであれ、国政で活躍してほしい気がする。今後に注目したいと思う。